駄らだらと語る宝塚ファンのブログ
駄らだら、たからづか。
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 「なんとなく花のみち日記」 2007年 10月 29日 (月) 23:02
花組らしい「入り」だった。
花組応援団による「入り」だった。
・・・朝のことはよく覚えている。
ショッキングピンクの学ランに『花乱舞!!』と書いた真飛聖サンの背中。
アップの髪に黒サングラス、ツッパリ衣装があまりにも似合ってなくて可愛かった桜乃彩音ちゃん。
そしてみんなで黒服を着て、「休め」の姿勢でビシリと整列する花組生たち!

春野サンが車から降り立ったとたん、ファンの歓声が花のみちに炸裂する。
白のスーツだ。
男役8人がかりで担ぐ、大きな神輿の上に乗り、ファンの間を練り歩く。
手を振り。
笑い。
キザって脚を組むのも忘れない。

春野サンがお神輿から下り、お立ち台にのぼると、
組子たちが『表彰式の歌』をハミングで歌いはじめた。
拡声器をもった真飛サンが言う。
 「表彰状。春野寿美礼どの!
  あなたは花組主演男役として、数々の涙と笑い、幸せをもたらしてくれました・・・ウフッ♪」
何がウフ♪ だか知らないが。
真飛サンはけっこう喋った。
曰く、3年前の大運動会で、あんなにも表彰状を受け取る練習をしたのに優勝できなかった。
このままでは貴方が可哀想だ。
そこで
 「運動会の1位は逃しましたが、タカラヅカでの1位を讃え、宝塚大劇場卒業証書を送ります!」
と。
だけど、卒業証書は見えなかった。
金メダルも見えなかった。
フリをしていただけなのである。
それでも春野サンは、目には見えない賞状を受け取り、目には見えないメダルを首にかけ、メダルを噛むフリまでしてそれに応えた。
ファンが喜んでわあっと声をあげた。
だから、そこにはあったのだ。
見えないものがあったのだ。
賞状も。
メダルも。
みんなの気持ちが生み出したもの全部。
一番大事なものはいつだって、目には見えないものだからだ。
 「私達はみんな貴方についていきます!」
組子の声がそろった。
 「おさちゃんサイコー!」

春野サンは、笑って笑って、体がくの字に曲がるまで笑って、
にこにこ笑いながら真飛サンの頭をなでた。それから抱きしめた。
笑顔で。
笑顔で。
笑顔で。
みんな笑顔で。大好きで。幸せだった。

組子たちが引っ込むとき、お立ち台と拡声器を持っていってしまったため、ファンの間から嵐のようなブーイングが起こった。
真飛サンと桜乃サンが慌ててお立ち台を持って引き返してきた。
えらい低姿勢なのが可笑しかった。
ファンの人たちは声をそろえて
 「最後の舞台、しっかりと目に焼き付けます!」
と言っていた。

目に焼き付けるのはファンのすること。
することがない私達は、公演のあいだ暇つぶしの遠足に出かけた。
終演予定は5時20分。
実際には5時半をまわっていただろう。
けれどスポニチの号外が出たのは、5時18分のことだった。
・・・ずいぶん早いんだな。

それから出待ちが始まるのだが。
申しわけないけど、覚えていない。
カスミ草とヴィオラの花道も真紅のオープンカーも、何もかもすべて、
現実みたいじゃなかったからだ。
夢みたいに過ぎ去ってしまったからだ。
いつもなら少しでも記憶に残しておこうと思い、頭の中がたくさんの言葉でいっぱいになるのに。
今日はどんな言葉も浮かばなかった。
柔らかな笑顔が通りすぎ、きっちり撫でつけた後ろ頭が視界から消えてしまうまで、
私はただ、夢中になって拍手をし、ファンの人たちと一緒になって手を振っていた。
おさちゃんありがとうと言ってみた。
冷静じゃいられなかった。
・・・ああ、私もヤキがまわったなあ。

ただ、覚えてる。
遠く白い花のアーチをくぐって春野サンの姿が見えたとき、群集の中から
 「あれがオサさん?
  なんか雰囲気が違う。べつの人みたい」
という声があがったことを。
ひょっとしたら、その言葉が一番的確な表現かもわからない。
退団者として現れた春野サンは、緑の袴といっしょに、信じられないくらい美しい空気をまとっていたからだ。
尊いような空気だった。
ものすごい歓声にかこまれているのに、そこだけ安らいだように静かな空気だった。
・・・あの歌声とおんなじだ。

だけど泣いてた。
ファンにむかって手を振るあいだも、オープンカーに乗りこむときも。
しきりに目頭を押さえてた。
春野サンだけじゃない。
同じく退団者の鈴懸三由岐サンも、あとで出てきた桜乃彩音ちゃんも、真飛聖サンに至るまで。
みんな泣いていた。
静かに涙を流してた。
こんな楽は初めてだと思った。
・・・ほんま、私もヤキがまわった。

今はまだ、現実なんだか夢なんだか、
楽しいんだか悲しいんだか、
幸せなんだか寂しいんだか、
何がなんだかわからないのですが。
たくさんの歌を聴かせてくれた春野寿美礼サンは、私の前から、幻のように去ってしまいました。
こうして長い一日が終わったのです。
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