駄らだらと語る宝塚ファンのブログ
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 「なんとなく花のみち日記」 2012年 03月 06日 (火) 00:18
空が朝からぐずぐずと泣いてばかりいた。
啓蟄の雨だ。

夕方前に大劇場前へ着くと、すでにファンクラブさんが出待ち体制をつくりあげていた。
隊列を組み。
手をつなぎ。
水も漏らさぬガードっぷり。
 「信仰宗教の儀式みたいだね」
と誰かが言い、私はエジプトのピラミッドで行われていたUFO教団の儀式を思い出した。
・・・たしかに、そっくりだ。
託児所の窓から子供たちが珍しげに見下ろしている。

『終演は5時半』と劇団のスケジュール表には書いてあったけど、
ファンの人たちが劇場から走り出てきてパレードの場所取りに殺到したのは6時頃だった。

退団者が歩む花道に、色とりどりの風船が並んだ。
ファンの人たちが手に持ってゆらしている。
赤や青やオレンジや。
にぎやかな花が咲いたみたいだった。
うっかり放たれた風船がひとつ、ふわりと浮かびあがって夜空にとけていく。

風船の列のあいだに車が停められる。
拍手があがる。
袴姿の退団者がひとり、またひとり、花道を歩いてやってくる。
最後の笑顔を見せてくれる。

可愛らしく微笑みを配りながらゆく人。
すいすいと爽やかに歩いていく人。
みんなきれいだった。

空模様も退団者を気づかって、しばらく降るのを我慢していた。
なのに、青樹泉ちゃんが去ったとたん。
最後の最後の姿が花の道に消えたとたん。
ふたたび「わあっ」と降りだした。
雨が、張りつめた寂しさをこらえきれなくなったみたいに。
いっしょうけんめいに笑ってるファンのひとの代わりに泣きだしちゃったみたいに。
なみだ雨って本当だ。

ひしめきあう大群集の中で傘をさすのは危ないと
みんなで肩寄せ合って濡れそぼってたら
最後のひとりが来た。
霧矢さんが来た。

黒の紋付、緑の袴。
まあるく輝くお月様。
一心に。
ひとすじに。
力のかぎり輝きつづけてきたお月様。

背中が、思いがけず細かった。
若い頃の印象が強いせいだろう。
痩せたなあと思った。
トップになるとみんな痩せる。
どんどん華奢になってゆく肩で、いろんなものを牽いて歩いてきたのだ。
拍手の中を。
嵐の中を。
ここまで牽いてきた。

牽いてきた仕事のぶんだけ、輝きは増すのかもしれない。
例えがおかしいかもしれないけど
私の目にはずっと、霧矢さんは職人に見えてたから。
プロの仕事をするひとの
それは一生に一度の仕事をやりとげた笑顔だった。

ゆっくりゆっくり進むたび、まわりの空気が熱くなっていく。
ファンの人たちが懸命に声をそろえて掛け声かけてた。
こっぱずかしい台詞をいっていた。
それから笑った。
犬のフィンチが袴をはいて霧矢さんに抱かれていた。
犬連れのパレードって初めてみた。
「かわいいね」
って声があがった。
犬のことなのか飼い主のことなのかはわからなかった。

気がついたら雨がやんでいた。
空は、泣き止んでいた。
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